理想の男~Magic of Love~

「…もうあとに戻れないな」

話が終わったと言うように、藤が息を吐いた。

「――わかった、か?」

その問いに、私は答える代わりに首を縦に振ってうなずいた。

「まるでストーカーだな」

そう言って藤は、自嘲気味に笑った。

「――ストーカーなんかじゃ、ないよ…」

私は小さく、呟くように返した。

「“好き”って言う理由があったなら、ストーカーにはならないよ」

そう言った後で私は藤の手を握った。

間近で見た藤の手は、傷が1つないうえに大きくて骨張っていた。

私の小さな手じゃ、この大きな手を包み込むのは難しい。

「――愛莉…」

バリトンの声で、藤が私の名前を呼んだ。
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