理想の男~Magic of Love~
こうしてお姫様抱っこをしてくれたのは、藤が初めてだったな。

浩治はしなかった。

と言うよりも、できなかったと言った方が正しいと思う。

あんな枯れ木のような腕では荷物持ちくらいはできても、私を抱えあげることなんて絶対無理だ。

「愛莉?」

藤の声に我に返ると、いつの間にかバスルームにきていた。

「あ、うん…」

私が返事をすると、藤は微笑んだ。

藤は私をバスタブに入れると、シャワーからお湯を出した。

シャワーをバスタブに入れると、藤も一緒になってバスタブに入って私の向かい側に腰を下ろした。

2人でお湯が溜まるのを待った。

「足、もう痛くない?」

藤が聞いた。
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