理想の男~Magic of Love~
もう、忘れよう。

藤のことを忘れよう。

彼のことを忘れる以外、他に何があるの?

そもそも私は、結婚を控えている。

恋人以外の男に関わっちゃいけないのだ。

理想だろうがイケメンだろうが、他の男の人に関わっちゃいけないのだ。

手の甲で流れる涙をぬぐった。

忘れよう…。

忘れよう…。

忘れよう…。

心の底から、私は誓った。

藤のことを。

彼に関わったことも。

何もかも忘れよう…。

それしか、方法がない。

そう自分に言い聞かせた私は、今度はゆっくりと自宅に向かって歩いた。
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