【B】星のない夜 ~戻らない恋~



翌朝、心【しずか】は睦樹さんに付き添われて入院した。


入院中の紀天君のお世話は、怜皇さんの公認で
お手伝いできることになって、私も邸と病院に往復することが多くなった。

だけどその病院は、紀天君が生まれたあの病院とは違った場所だった。



数日後、全ての検査結果が出た心【しずか】は、
病室で私に「話があるの」っと言葉を切り出した。



「心【しずか】、俺、紀天と少し外に出てくる。
 女同士、咲空良さんと話したいことあるだろ」


そんな風に切り出すと、心【しずか】の傍で、
眠っていた紀天を抱え起こして病室を出ていった。


シーンと緊張感が増す病室。


私はゆっくりと心【しずか】の方へ近づく。


「子宮がん、転移してた……リンパ節に卵巣、それに肺まで……。

 何処まで頑張れるかわかんないけど、
 紀天の為に、出来る限りのことはやりたいの」



親友の病気。


私に、女性が何時直面するかもしれない現実問題を突き付けてくれたと共に、
大切な心【しずか】の為に、今の私が出来ることを精一杯したいと強く思えた瞬間。




「うん……私も精一杯出来ることをする。
 怜皇さんがね、知ってるお医者さんを紹介してくれるって。
 だから大丈夫だよ。

 私が頼む前に、睦樹さんが頼んでたなんて、心【しずか】愛されてるよ」



わざと笑みを浮かべて、明るく振舞うように声をかける。
心【しずか】は私に初めて出来た親友で、大切な存在だから。



だから……私は親友の為に今出来ることを精一杯したいから。

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