音匣マリア
蓮は、約束通り週末にうちの両親に挨拶に来てくれた。


わざわざその為に仕事を休んでくれたんだと思うと、ありがたいし申し訳なく思ってしまう。


蓮はお母さんには『結婚を考えてる』みたいな話をしたけど、私としてはまだそこまでは考えていない。


そんな事より、もっと二人の時間がほしいとか二人きりになりたいとか、そういうただ漠然とした気持ちの方が強くて、まだ結婚や一緒に生活する…っていう先の予想図が立たないでいる。


だけど、蓮とうちのお父さんは気が合った様子で、家に上がった時は緊張してカチカチに固まっていた蓮も、お酒が進むにつれて段々饒舌になっていた。


それはお父さんも同じだったらしい。


お父さんはお母さんから事前に蓮の事を聞かされていて、しかもお母さんは何だかんだ言っても蓮のフォローをしていてくれたみたい。



そして、蓮と私は、とりあえずうちの両親は公認している彼氏になったんだ。






そして私も蓮の家族に紹介されたりして、私は私でそれも緊張した。



蓮と私の休みが重なったとある平日、いきなり蓮が「今度は俺んち行ってみるか?」と、言い出して、それは急に決まった訳で。



蓮のお姉さんの伊織さんとは知り合いだったけど、蓮のお父さんやお母さんと会うのは初めてだったし。


それに、将来を考えている…なんて、ここでも蓮が言うから、更に私の緊張の度合いが増した。



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