浮気は、いいよ。


言われ通り幸太郎にメールして、悠介が予約したホテルに行った。



シャワーを浴びて、ベッドの上で頭を拭く。



何の拍子か分からない。



急に涙が零れては、また止まらなくなる。



幸太郎、今、何をしているの⁇



どうか、1人でいて。




ーーーブルルルル



携帯が鳴る。




「泣いてたりする??」



悠介だった。



一瞬、『幸太郎カモ』と期待してしまった。



でも優しい悠介の事だから、1人ぼっちのワタシに電話してきてくれるだろうな、とも思っていて。



予想を裏切らない悠介に、涙も流れる事をやめた。



「ご期待に添えなくて」



ホントは泣いていたけれど、悠介のおかげで収まったから。



「うわー、慰めてやろうと思ったのに残念」



「ご期待に添えなくて」



「フッッ。 優里、寝れそう⁇」



「うん、アリガトウ」



「ソコ、『ご期待に添えなくて』の一点張りでこいよ。 子守唄リサイタルしてやろうと思ったのに」



「何歌うの??」



「由紀さおりの『シャバダバ』言ってるヤツ」



「曲名も知らない歌歌われたら余計眠れない」



「シャバダバダーシャバダバダーシャバダバシャバダバダー「おやすみ」



悠介リサイタル、強制終了。



「フッ。 うん、おやすみ優里」


悠介の優しい声は暖かい。
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