浮気は、いいよ。
優里に近づくと、人の気配に気づいた優里が目を覚ました。
「あ・・・・ごめん、荷造りしながら寝ちゃってた。 すぐ終わらせるね」
優里は気まずそうに苦笑いをすると、荷物をダンボールに詰め始めた。
「・・・・出てくの??」
「・・・・うん」
優里は、オレの問いかけに手を止める事なく、こっちを見る事もなく、ただ頷いた。
「オレが出てくから、優里はココにいていいんだよ??」
「2人で住むなら、沙耶香の部屋よりココの方が広くていいでしょ?? ワタシは1人だから職場の寮で充分だもん」
荷造りの終わった優里がガムテープでダンボールを止めた。
「・・・・仕事、何してるの??」
優里から逃げ回ってる間に、優里はしっかり生活の基盤を築いていた。
「工場で流れ作業」
優里はオレと結婚する前に企業の受付をしていた。
優里には似合わないと思った。
「大変だろ、工場の仕事。 体力使うから疲れるだろうし」
優里がやりたくてやっているとは思えなかった。
でも
「うん。 でも、すごく楽しい」
よっぽど楽しいのだろう。 優里はキラキラした笑顔を見せた。
「もっと早く働けばヨカッタ。 こどももいなかったのに。 この2年間、養ってくれてありがとう、幸太郎」
結婚した時、優里をオレだけのものにしたくて、優里に仕事を辞めてもらった。
オレのワガママで優里を家の中に閉じ込めた。
優里はいつだってオレの意見を尊重してくれていた。
お礼を言ってもらう資格なんて、ない。