浮気は、いいよ。
「・・・・じゃあ、ワタシ行くね」
優里が大きな鞄とダンボールを持ち上げた。
「手で運ぶの??」
「うん。 コレだけだから。 すぐタクシー乗るし」
優里は以前より少し痩せた腕をプルプルいわせながら玄関に向かった。
シゴト、キツイのかな。
・・・・違うな。 シゴトはきっと本当に楽しんでやっているのだろう。
優里が痩せた原因など、オレに決まっている。
「・・・・・優里、引越しは明日にすれば?? 時間も時間だし」
時計を指差すと、もうすぐ22時になるところだった。
「・・・・デモ、幸太郎は嫌でしょ??ワタシといるの。 ホントはもっと早い時間に出てくつもりだったんだけど・・・昨日夜勤で、夜勤明けに弁護士さんと会ったりしてて寝る時間無くて・・・・居眠りしちゃった」
『へへ』と申し訳なさそうに笑って見せる優里。
優里が夜、家を明けがちになったのは夜勤のせいだったのか・・・。
悪いのは全部オレで、優里に落ち度は何も無い。
なのに、オレは何で優里にこんなに気を遣わせているんだろう。
「オレは全然嫌じゃない。 優里、やっぱり引越しは明日にして?? 居眠りするぐらい疲れてるんだろ??」
優里の荷物を奪い取ってリビングに戻す。
「・・・・・・」
優里は黙ったまま玄関から戻って来ない。
「優里、玄関寒いから早く戻っておいで」
オレの呼びかけに、困った顔をしながら優里がリビングに戻ってきた。