浮気は、いいよ。



朝がきて、初めて優里の為に朝ごはんを作った。




『初めて』というか、最初で最後。





匂いに釣られて優里が目を覚ます。




「・・・・・幸太郎・・・・換気扇付けた??」




鼻を執拗にくんくんさせる優里。





「・・・・え??」





「・・・・『THE 日本の朝ごはん』を作るのは大変結構な事ですが、お魚焼くなら換気扇つけましょうよ」





優里は朝ごはんの匂いに誘われたワケではなく、魚臭い匂いに我慢ならなくて起きたらしい。




寝癖を付けた優里が窓を開けて換気をした。




「せっかくさっきスーパーで鯵買ってきたのに、そんな嫌そうな顔しなくても・・・・」




「鯵が嫌なんじゃなくて、換気扇を付けずに鯵を焼く行為が嫌なんです。 ・・・・さっき買ってきたって、何時に起きたの?? 幸太郎」





「結構前から」





実は全く寝ていない。




もったいなくて、寝たくなかったから。




「・・・・そっか。 あーあ、最後くらいちゃんと朝ごはん作りたかったカモ。 ぐーたら主婦で終わっちゃった」




優里は残念がったけど、正直、最後の朝にそんな幸せな朝ごはんを食べてしまったら泣き崩れる自信が満載だ。





オレはいつからこんなにメンタル弱くなったんだろう。





「・・・・優里、顔洗っておいで。 あと、寝癖が芸術的」





「~~~~もー。 だから幸太郎より遅く起きたくないんだよ。」





優里はとっちらかた髪を、くしゃくしゃと掻きながらバスルームへ行った。





と、思ったが、ドアからヒョコっと顔を出した。










「忘れるトコだった。   おはよう、幸太郎」









「おはよう、優里」










『おはよう』と言い合うのも今日で最後。






何もかも






ことごとく






最後。












優里の最後の『おはよう』は









反則な程可愛かった。
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