それだけ ~先生が好き~



相談室にもたくさん思い出があった。


ついこの間まで、ここで笑っていたのに。



もうここに二人で来ることは・・・ないかもしれないんだね。



窓の外で降る雨から目が逸らせない。





怖い




本当は先生が離れていくのが怖いよ



別れるなんてやだ



そばにいてほしい






感情が涙になって溢れ出た。



それに気づいた先生は、強く抱きしめてくれた。


背中に回された腕が久しぶりで、ほっとする。




「どうした?・・・ずっと元気なかったろ。何かあったか?」




少し腕の力を緩めて向き合った。


心配そうなその目がまっすぐ見れない。



言わなきゃ



ちゃんと伝えなきゃ




私の精一杯のわがまま、先生に伝えなきゃ





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