それだけ ~先生が好き~



一度目のキスは、別れ際の悲しいキスだった。



後で何度も後悔を繰り返したキスだった。



別れたくないって、俺のわがままな気持ちがつまったキス。



今井に辛い思いをさせるってわかってても、止められなかった。


それなのに、今こんなにシアワセなキスが出来るなんてなぁ・・・。




いったんキスをやめて、今井の瞳をじっと見る。




涙がうっすら浮かんだ丸い瞳は、少し優しく微笑んだ。





そんな顔されたら、俺どうすればいい?




本当は・・・抱きしめることすら許されない。



それどころか、こうして二人で会うことだって良く思われない関係。




これが最後。




きっと卒業するまで・・・出来なくなる。




俺のわがまま。


最後にもう一度、キスがしたい。





「今井・・・最後の一回、していい?」






耳元で囁くと、ぎゅっと目をつぶってくれた。



可愛い。



これがきっと、最後になる。




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