それだけ ~先生が好き~



「・・・え・・・」



城田の腕が少し緩んだ。


思わず顔をあげた私の目に映ったのは・・・


切なそうに顔をゆがめた城田。



そんな顔、見たことない。




「ば~か!!そんな驚くなよ!!ウソ!しないよ、人の女にキスなんて」




私の頭をぐしゃぐしゃってなでて、笑う。




「なぁ、諦めるまで・・・時間めちゃくちゃ、かかるっぽいから。でも、俺のことなんて気にしなくていいから。精一杯松戸に恋していいから!」



そう口にした城田の顔は


悲しさを無理に押し込んで



私のために・・・笑ってくれてた。



その笑顔を無駄には出来ない。




「・・・城田ぁ・・・ごめんね、本当・・・ごめんなさい」



「あ~!!いいって!!だから、今日抱きしめちゃったの許してな」




冗談のように笑い飛ばす城田は・・・相当苦しいと思う。


それなのに・・・。



これからも、そばで支えてやると約束をしてくれた城田は




いちばん大事な友達であり続ける。








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