それだけ ~先生が好き~



体育館には、すでに何人もの生徒が新しいクラスでまとまって座ってた。



先生誰になるかなぁ、なんて会話ばかりが聞こえてくる。



1組の席には、城田とその友達と、晴香と萌が座ってた。



少し離れたところに、3組の席があった。


グレーのスーツを着た先生が立ってる。



かっこいいなぁ。



先生は、もう何組を担当するかとか・・・どこを担任するとか、知ってるんだよね。


当たり前かぁ。



すれ違う瞬間、みんなと同じようにおはようを言われた。


だけど、城田とよく一緒にいるひと達がバスケを始めて、先生は私の返事を聞く前に・・・注意しに行っちゃった。


寂しい気持ちになんか、ならないと決めたのに。


先生のおはようを聞けただけでも、嬉しいのに。


私は、欲張りだ。





マイクを通して、学年主任の声が響く。



『ほら、3年!!2年生はもう座ってるぞ!!早く座らないと、始められないぞ!』



一番奥の席に座って、校長先生の話をぼーっと聞く。



そして・・・とうとうやってきてしまったこの瞬間。


私の心臓は、これまでにないくらい激しく動いている。




『では、3年の先生方から紹介していきます』




やだ・・・


やだよ、やだ


聞きたくない。




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