† Lの呪縛 †
エリオットに恋をしたジュリアンナ。


だが体は痩せ細り、肌はボロボロ、頬はこけ、生気を失った自分の顔を見て、愕然とした。


上流貴族出身であり、優しくてハンサムなエリオットに振り向いてもらいたい。


その一心で、ジュリアンナの身体と心は驚く程に回復していった。


夫を喪い恋をする事を忘れていたが、恋する気持ちを思い出した途端、美への意識が異常に高まった。


美容に良いと言われる果物や野菜、薬……いろんな物を試していた。



『何故、そんなに美しくなりたいんだい? 貴女は今でも十分美しいというのに』



ある日のエリオットの言葉に、ジュリアンナはほほを赤く染め戸惑った。



『貴方に……意識してもらいたいの……女として、見てもらいたいの…』



熱を帯びた瞳を向けるジュリアンナに、エリオットは目を細め口を開いた。



『もう一人の女性として見ているよ。 愛しているよ、ジュリアンナ』



二人の心が繋がった瞬間だった。


初めての抱擁に互いに胸を高鳴らせ、熱い口付けを何度も交わした。



『もっと美しくなりたいのなら、いい話を聞かせてあげるよ』



エリオットはジュリアンナの耳元でそう甘く囁いた。





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