† Lの呪縛 †
「あっ、すみません……」



まだ上手くステップが踏めないオリヴィアは、シドの足を踏んでしまい、泣きそうな顔をして謝った。


恥ずかしさから、ずっと顔を伏せている。



「気にしなくていいよ」



耳まで赤く染めるオリヴィア。


シドはそんなオリヴィアを見てクスリと笑った。



「パーティーは初めて?」

「……はい」

「人の多いところは苦手?」

「……はい」

「俺も苦手だよ……でも、面倒臭くてもパーティーに出席して良かったと思ってる」



オリヴィアは顔を俯かせたまま目を泳がせた。


オリヴィアが戸惑っていることはわかっていたが、シドは話を続けた。



「もうすぐクリスマスだね」

「そうですね」

「ミートパイが食べたいな」



シドの胸元に添えられたオリヴィアの手がピクッと微かに動いた。


実母と暮らしていた時の思い出で胸がいっぱいになった。



「あまり料理は得意じゃないのに、お祝い事の時には必ずミートパイを作ってくれたよね」

「え……?」



オリヴィアは困惑した顔で、シドの顔を見上げた。


するとシドは嬉しそうに顔を綻ばせた。





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