† Lの呪縛 †
本人たちの気持ちなど御構い無しに、話を進めようとするルーズヴェルト公爵夫妻。


夫妻が盛り上がれば盛り上がる程、ノエルの気持ちは沈み、真っ黒な感情に覆われて行く。



「勝手に話を進めるんじゃない。 あの子はまだ恋愛だの何だのに興味がないんだ。 あの子を急かすような態度は控えてくれ」



ダグラスは勝手に盛り上がる二人にピシャリと言い切った。


本人たちの居ないところで両親たちは話し合いを始め、周りにいる子供達は呆れた顔を浮かべた。



「シドお兄様はオリヴィアに一目惚れしたのね」

「どうしてそう思うんだ? ただ興味を惹かれただけかもしれないだろ」

「ふふっ、シドお兄様の顔を見てれば分かるわ。 一目見て、オリヴィアに恋をしたのよ……だって、あんな幸せそうな顔をしたシドお兄様、見た事ないもの」



キティはアレンに寄り添い、踊っている二人を見つめた。


アレンはキティにつられる様に二人に目を向けた。


確かに今までシドのあんな柔らかい顔を見た事はなく、未だに驚きは抜けないが、ふに落ちなかった。


アレンが物心ついた頃からシドは変わらない。


表情がなく、何にも興味を示さず、感情を表に出す事はない。


そんな男が一目見ただけの女に、あんな顔を見せるものなのだろうか……アレンはそう思わずにはいられなかった。





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