† Lの呪縛 †
「オリー、愛しているわ。 愛する貴女に私と同じ苦しみを味あわせてしまう事、本当に申し訳なく思う……ごめんなさい」

「ずっと一緒にいたい、よ……っ」

「貴女の心の中にお母さんが居る限り、私達はずっと一緒よ。 さぁ、いつもの様にお休みのキスをちょうだい」



顔を涙でグチャグチャに濡らしたオリヴィアは、下唇を噛み締め、シャロンを見上げた。


唇は血で滲み、ピンク色の唇が微かに赤く染まる。


今迄に見た事のないシャロンの穏やかな表情を見て、オリヴィアは本当にもう一緒には居られないのだと感じた。


そう感じると更に止まらなくなる涙。


泣き叫びたい気持ちをグッと堪えるも、揺れ動く瞳だけはどうしようもなかった。


シャロンの頬にゆっくりと近付くオリヴィアの唇。


唇が触れてしまった後の恐怖……オリヴィアはこれは夢であってほしいと、心の底から願った。


シャロンの頬に触れたオリヴィアのふっくらとした唇。


その唇は震えていた。



「オリー……幸せになりなさい」



優しく微笑み涙を流すシャロン。


口を開けばまた母を困らせてしまいそうで、オリヴィアは何も言えなかった。






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