† Lの呪縛 †
「ちゃんと伝えておきたくて……私が傍にいると迷惑?」



オリヴィアは不安そうな顔をしてノエルを見上げた。


ノエルの理性がざわつく。


ノエルは腕を組み壁に寄りかかると、悲しそうな顔をした。



「僕が居ると、オリヴィアが迷惑だろう?」

「そんな事ない!! どうしてそんな事を言うの!?」

「シドととてもいい雰囲気じゃないか。 手紙のやり取りもしているんだろう? オリヴィアとは今まで通りでいたいけど、二人にとって僕は邪魔でしかない」



ノエルは舞踏会の晩の事を思い出していた。


照れくさそうに踊っているオリヴィア。


シドと抱き合い見つめあっていた。


オリヴィアを自分のものにしてしまいたいという気持ちが本心ではあるが、今この場で伝えるつもりは一切なかった。



「可愛い妹をこんなに早く誰かに取られてしまうとは思ってもいなかったよ。 シドのところへ嫁いでしまったら、今以上に寂しくなるんだろうね」



考えるのも言葉にするのも嫌な台詞だが、ノエルは平静を装った。






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