† Lの呪縛 †
馬車から降りたオリヴィアは更に目を輝かせた。


目の前に広がる海。


初めて訪れた海に心が躍り、広大な海に目を奪われる。



「オリヴィア」



オリヴィアはノエルの手を取り、二人で仲睦まじく足を進めた。



「船内は広いから迷子にならない様に気を付けるんだよ?」

「迷子になったらノエルお兄様の事を大声で呼ぶね」

「そうならない様傍に居るよ」



ノエルは呆れた顔をしながらも、内心嬉しくて堪らなかった。


だが船に近づくにつれ、楽しい気持ちが萎んでいく。


船内につながる階段を上りながら、これから起こりうるであろう出来事を覚悟し、気合を入れた。



「やっと来たか。 待ちくたびれたぞ」

「待たせてしまってすまない。 お互い仕事の事は忘れて楽しもうじゃないか」

「あはは、そうだな」



船内に乗り込んだダグラスを笑顔で迎えたエドガー。


クレアとヴァネッサも笑顔で挨拶を交わしている。



「オリー」



オリヴィアを呼ぶ声に、ノエルは来たかと思った。





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