† Lの呪縛 †
**********



「それで……野盗の目的は? あの子か?」



口にタバコをくわえ、目を細めキューでボールに狙いを定めながら男が聞いた。


ボールとボールがぶつかり、弾かれたボールがサイドスポット目掛けて転がった。


サイドスポットへ向かっていたボールが短クッションの角にあたり、跳ね返ると静かに動きを止めた。



「……チッ」



男性は眉間にシワを寄せ舌打ちをすると、キューを壁に立て掛けドカッとソファーに腰を下ろした。



「いいや、金目当てのただの小者だ。 オリヴィアは関係ない」



ダグラスは男性と向かい合わせにソファーに座わり、足を組んだ。


ほんの少しの灯りに包まれたビリヤードルームに集まった数人の男女。


皆長い付き合いであり、代々続くこの集まりは情報交換の場であり、目的を共有している者たちの集まりでもある。



「無事なんだろうな?」

「……野盗の一人に銃で心臓を撃ち抜かれた」

「ちょっと!! それどういう事よ!? 死んだって事!? あの子がいなければ奴らを炙り出せないかもしれないのよ!?」



真っ赤な唇を大きく開き、女性は真っ白なレースのミディアムグローブを着けた手で、ダグラスの肩を掴み揺さぶった。





< 30 / 260 >

この作品をシェア

pagetop