† Lの呪縛 †
誰とも目を合わせない。


口も聞かない。


食事すらしようとしない。


けれど、人形の様に愛らしく美しいオリヴィアの美貌は不思議と衰えない。


ノエルはオリヴィアの手をそっと握った。



「次は絶対に守るよ。 命に変えても……絶対に……」



オリヴィアは顔を上げ、ノエルの顔を見て僅かに目を見開いた。


大きな瞳は潤み、大きな雫を落とした。



「キー……ス……っ」



数日ぶりに漏らした声。


唇と同じくらい震え、今にも消えてしまいそうだった。


オリヴィアはノエルの手をグッと握り返し、涙を流しながら頭を振った。



「ダ、メ……そんなの……ダメッッ!! たくさん約束したじゃないッッ、それなのにっ、どうして……っ」

「オリヴィア、落ち着いて」

「守って欲しかったわけじゃない!! ずっと一緒に居て欲しかったッ、ずっとずっと……それなのに私をおいて死んじゃうなんて……っ……」



ノエルは腰を浮かせ、オリヴィアの震える体を愛おしそうに抱きしめた。


オリヴィアはノエルの首に腕を回し、すがる様に擦り寄った。


何故死ねない体になってしまったのか……その事はオリヴィアに恐怖を与えた。


けれど、それ以上に恐ろしい事は一人ぼっちになってしまう事だった。





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