† Lの呪縛 †
オリヴィアを守る為に死んだ実母と兄の様に慕っていたキース。


オリヴィアは過去と今を重ねていた。


楽しかった日々はあっという間に崩れ去り、深い哀しみを胸に長い時を経て目覚めた。


ーもう二度とあんな思いはしたくない。ー



「オリヴィア、体の事は知っていたのかい?」



オリヴィアはダグラスの顔を見ずに、ノエルの腕の中で首を横に振った。



「そうなってしまった原因は分かるかい?」



またしてもオリヴィアは首だけを横にふり、何も答えない。


ダグラスはオリヴィアに気付かれないようため息を漏らした。



「……化け、もの…………」

「オリヴィア?」



ノエルの胸に顔を埋めているオリヴィアの口から、くぐもった声が漏れた。


ダグラスとノエルは目を合わせた。



「村の人たちから、化け物って……そう呼ばれてた」

「オリヴィアは化け物なんかじゃない。 僕にとっては最高のお姫様だよ」



ノエルの言葉に更に涙が溢れた。


キースも同じ様な事を言っては、オリヴィアを誰よりを愛でた。





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