† Lの呪縛 †
ダグラスの手がオリヴィアの頭に触れ、オリヴィアは肩を揺るがせた。


今まで感じた事のない感覚。


戸惑いながらも、自然と不安が和らいでいく様だった。


オリヴィアはゆっくりと顔を上げた。


ダグラスは怯えた目を向けるオリヴィアに、柔らかい笑みを零した。


我が子であり、それだけではない関係。



「血の繋がりはないが、私はお前の事を娘として愛しているよ」



オリヴィアを餌に、ある組織を炙り出そうとしている事実は変わらないが、それはダグラスの本心だった。


だからこそ、オリヴィアをどうにか普通の人間にしてあげたいと願った。



「ど、して……? こんな化け物……気持ちが悪いでしょ?」

「何を言うんだ。 こんなに愛らしい化け物が居る訳がないだろう? 私の目を見て。 嘘をついている様に見えるかい?」



潤んだ瞳は微かに揺れ動きながらも、ダグラスの瞳をジッと見つめた。


純粋でありながら、哀しみや苦しみを知った瞳に、ダグラスは今にも吸い込まれてしまいそうだった。


オリヴィアはダグラスを見つめたまま、一粒の涙を流した。



「あんな事があったのに……どうして、そんな事を言ってくれるの?」





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