† Lの呪縛 †
男性はオリヴィアの手元に視線を向け、口を開いた。



「雛鳥? あぁ……あそこから落ちたのか」



男性はオリヴィアの手元から木を見上げ、納得した様に頷いた。



「生きてるの?」



オリヴィアは小さく首を横に振った。



「もう、死んでるわ」

「可哀想に」

「可哀想?」

「あぁ、可哀想だ。 生まれて直ぐに死んだんだからな」



男性の言葉にオリヴィアは笑みを零した。


オリヴィアの笑みを見て、男性は怪訝そうに顔をしかめた。



「可哀想なのは死んだ事じゃない」

「どういう意味?」

「親や兄弟から離れてしまった事……それが一番可哀想だわ」



二人の間を風が吹き抜けた。


オリヴィアは優しい仕草で動かない雛鳥を撫でた。



「かして」

「え……?」

「いいから」



男性はオリヴィアから雛鳥を受け取ると、木の枝に手をかけ、木の凹凸に足を掛けた。


軽快な動きで木を登ると、片腕を伸ばし、巣へ手を運んだ。



「大丈夫、何もしない。 こいつを入れてやってくれ」



男性は言葉の通じない雛鳥に優しく話し掛け、手に持っていた雛鳥を巣へ戻した。





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