† Lの呪縛 †
その夜、オリヴィアは寝支度を済ませ、久しぶりにバルコニーへ足を踏み入れた。


野党に襲われて以来だ。



「やぁ、こんばんは」



以前と同じ場所に座り、爽やかな笑顔を向けるヒューイ。


この笑顔に会いたいと思っていたオリヴィアは、リラックスした笑みを零した。



「こんばんは」



オリヴィアも前回同様、手すりに手を掛け夜空を見上げた。



「大丈夫?」

「何が?」

「お疲れみたいだからさ」



そんなつもりはなかったが、オリヴィアは急に可笑しくなり、笑い声を微かに唇の隙間から零れさせた。


ヒューイはキョトンとした顔でオリヴィアをみつめている。


いつも緊張した中で生活しているオリヴィア。


本人はそんなつもりはないのだか、知らない環境の中まだ身構えてしまっている。


だがこうしてヒューイと一緒にいる時には、張り詰めた緊張から解放される。


まだ出会って二度目だが、家柄や自分自身の過去や縛りを気にせずに話ができる唯一の相手、それがヒューイだった。



「今日友達ができたの」

「そう、それは良かったね」

「うん。 でも、ヒューイの言う通り疲れてるのかも。 凄く緊張したし、凄く眩しかったから……」

「眩しかった?」

「みんな笑顔がとても綺麗で、私とは違うんだと思った。 私はもう、あんな風に笑えない」





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