天使の歌
<だけど、同じ過ちは2度と繰り返さないよ。>
キュティの、決意に満ちた声。
<信じる優しさと、疑う強さ。
あの時、貴方が教えてくれた事を、私は理解 出来なかったけど……今なら、出来るから。彼等を利用するつもりで、頑張るから。
だから、何処に居るか教えて?>
(……そう言えば、そんな事を言った気がする。)
出来れば、キュティには、人を疑う汚い心を、持って欲しくは無かった。
あの純粋な――綺麗な心を、持ち続けて欲しかった。
俺と同じ世界に、足を踏み込んで来て欲しくなかった。
(……御免、キュティ。)
違うよ、辛い想いを させているのは俺だ。
君から、大切な物を、沢山 奪って行く。
<……セティ、落ち着いて聞いて欲しいの。>
不意に、キュティの声が、益々 真剣さを増した。
<貴方は、捕まってから3日後に、都の処刑場に連れて行かれる。
人間の彼等は、未来を見る力が在って、それで この事を知ったんだって。>
(……3日後……?)
セティは、乾いた笑みを浮かべた。
捕まってから、今日が何日目か、しっかりと解っていた。
――今日が、3日目だ。