天使の歌
「神霊(みたま)を失った躰は、存在 出来なくなる。神霊(みたま)は、生命力の一部でも在るから。
貴方は、死ぬ所だった。
セティ君は そんな貴方に……。」
桜の声が震える。
「自分の躰に残っていた神霊(みたま)を、送り込んで……。」
「……セティは、死んだよ。」
話せなくなった桜の言葉を、樹が引き継ぐ。
キュティは、茫然と、樹を見つめた。
「……死ん、だ……?」
「確認した訳じゃないけど、あの怪我で、神霊(みたま)を失っては、生きられない。」
「セティ君はね……!」
桜が、キュティを抱き締めた。
「私達に、お願いします、って……笑って……っ。」
「……セティ……。」
キュティの瞳から、涙が零れた。
セティが、もう居ない。
信じたくはなかったが、キュティは理解していた。
セティの腕に抱かれて気を失った時、キュティは自分が死んだと思った。
それ程迄に、体内の神霊(みたま)の存在は、大きかったのだ。
(……私は……生きなきゃいけない……。)
セティが居ない世界で。
桜の胸を借りて、キュティは泣き続けた……。