天使の歌
コツ、コツ。
遠くから、誰かの足音が聞こえる。
コツ、コツ。
――俺は、生きているのか?
コツ、コツ。
――確か、苦しくて、気絶したんだ。
――なのに まだ、生きている?
コツ、コツ、カツン。
足音が、直ぐ近くで止まる。
錆びた鉄格子の向こう側に、誰かが立っている。
「気が付いたか。………からの伝言を聞かせてやろう。」
――何?
――何て言ったんだ?
――名前が、聞き取れない。
「素直で扱いやすい子で、やりやすかったわ。……そう伝えろと言われた。」
――そうか。
――やっぱり あの言葉は、嘘だったのか。
<……ティ。>
「まだ やらなければならない事は沢山 在る。それ迄 死ぬなよ?」
<……セ……!!>
――何だよ……。
――五月蝿い、ほっといてくれよ。
<セティっ!!>