ナピュレの恋【完】
「だから言ったでしょー」


さっきまでカウンターの向こうにいた裕也の声が、すぐ後ろで聞こえた。


“えっ”と、顔を上げると、なつこを覗きこむようにして見つめる裕也のドアップが。


「ひゃっ!?」


とても三十路が出す声ではない、悲鳴に近いものが、なつこの口から出た。


慌てて口をおさえた…が。


「なつこさん、可愛い声出しますねー」


“マジで襲いたくなる”と、声のトーンが低くなった。
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