紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~


「どちらさん?」


オーランドはたずねる。


すると来訪者は、にこりと笑った。


「人を探しているんですが、捜査にご協力いただけますか?」


ジャケットの内ポケットから出てきたのは、警察手帳。


(警察……?)


オーランドはいぶかしがりながら、「はあ」と答える。


すると女性は、今度は一枚の写真を取り出した。


「この子です」


「…………」


オーランドは写真を受け取る。

そこに写っていたのは、紛れもなくコートニー。


「見かけたことは?」


たずねられ、オーランドは写真を返し、平静を装う。


「ありませんね」


「本当に?このあたりで見かけたという目撃情報があるんですが」


「さあ……僕は知りません」


では、とオーランドはドアを閉めようとした。


未成年、しかも義務教育が終わったかどうかあやしい女の子を連れ込んだと思われたら面倒だ。


たとえ、相手が本物の警察で、なにかあっても騎士団がもみ消してくれるとしても。


そして……


警察でなかったら、もっと面倒なことになる。


オーランドが少々乱暴にドアをひくと……


ガン!


女性はいつ取り出したかわからないステッキを、ドアの隙間に差し入れていた。


「ちょ、おねーさん。杖が傷みますよー」


「それはイヤだわ。
大事なステッキなの。
力を緩めてくれない?」


彼女の赤い唇からこぼれるのは、ほのかに甘い、魔力の香り。


(あかん……!)


オーランドは危険を感じ、大きな声を出す。



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