紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~


「やだオーリィ、飲みすぎちゃった?」


まりあが聞くと、瑛の悲鳴を聞いた太一と清良までが、キッチンに集合した。


「だって、僕、さみしいんや」


「ちょ、おい、離せっオーランド!」


「さみしいんや……」


瑛の肩に顔をうずめたオーランドが、ぐず、と鼻をすする音を、全員が聞いた。


「オーリィ……」


「さみしい……さみしいんや……」


「やだオーリィ、泣かないで?どうしたの?」


ひっくひっくと体を震わせるオーランドの背を、まりあと清良が優しくなでる。


「なんで……なんで僕の隣には、あの子がおれへんのやろ……」


一度溢れだした涙は、すべてを話し終わるまで続いた。


話を聞き終えたまりあと清良は一緒に号泣し、太一まで目を赤くしていた。


表情を変えなかったのは、瑛だけ。


「ごめんな……めでたい日やのに……」


「いいよオーランドさん、気にすんな!」


「そうよ!」


今日の主役二人が、鼻をすすった。


「……帰ればいいじゃないか。

そんなに会いたいなら」


瑛がボソッと言う。


「騎士団のお許しが出るまで、僕はイギリスに入られへんのや~!」


オーランドが泣くと、まりあがよしよしとその金髪をなでた。


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