紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~
「作ってるのはナンシーだけど、総元締めは違う」
「は?ほんなら、ナンシーは誰かに言われてその研究をしているわけか?」
「そうよ。今の黒魔術師の一番偉い人が、元締め。
一緒にいるとは思うけど……ナンシーの研究所は強力な移動魔法で、各地を転々としているから、今どこにあるかはわからない」
「ホンマかいな……」
『一番偉い人』とか、コートニーの口から聞くと、まるで緊張感がない。
しかし、これは聞かなかったことにはできない。
ただ、全てを鵜呑みにして良いものだろうか……。
オーランドはうなって頭を抱えたが、やがてひとつの結論にたどり着いた。
(騎士団幹部が帰ってくるまで、なんとか組織で抑えておくしかないか)
コートニーが手の内にあれば、敵をおびき寄せることができるかもしれない。
死者問題の解決には、それが一番早そうだ。
なにしろ死者は、組織が処理しても処理しても、次から次へと湧いてくるのだから。
「そしたら……買出しに行こうか」
「えっ?」
「マットレス、着替え、その他がないと困るやろ?」