桜廻る
準備が整い、リビングへ向かう。
「お?……雅、なかなか似合ってるな」
「あ、ありがとう」
「土方君もそう思うだろ?」
「はい。綺麗だと思います」
ストレートな土方の一言に、雅の顔は熱くなる。
「ありがとうございます、土方さん」
自然な感じで並んでいる雅と土方。
そんな二人を交互に見て、父は満足げな笑みを浮かべる。
「じゃあ、楽しんで行きなさい」
「うん!行ってきます!」
「行って参ります、お父上様」
土方が言うと、父は恥ずかしそうな表情をした。
「“お父上様”って結構照れるな。まぁ、それが時代の違いか。気を付けて行くんだぞ」
父に見送られ、二人は玄関を出た。