桜廻る
──三十分後。
車を停めて、中に入っていく。
今日は天気がいい。
暑い日差しが人々を照りつける。
「よし、じゃあ楽しんできなさい」
「……えっ?お父さん、行かないの?」
雅のその質問に、父は笑顔で頷いた。
「そこらへんの店で、コーヒーでも飲んで待ってるから」
雅と土方が向かう場所とは、反対方向を指さす父。
そして、雅の耳に顔を近付け、小さな声で呟く。
「せっかくのデートだろ?」
その言葉に、カーッと顔が熱くなった。