桜廻る
「……本当にいいんですね?」
着いた先は、やはりあの空間。
そう聞いてきた時猫に、雅は黙って頷いた。
「そうですか」
雅が黙っていると、時猫は目の前まで来て、話し出す。
「今まで私は、たくさんの人間をタイムスリップさせてきました。その中には、恨み悲しんだ者……たくさんの人がいました」
「……」
「でも信念があるのは……。みんな、同じだと思いますよ」
時猫がそう言った途端、桜の花弁が宙を舞う。
雅の目の前は再び、真っ暗になった。