桜廻る




「…何ですか?」





雅は少し驚き、土方の方を見た。



土方は、包丁を動かす手の動きを少し緩める。



昨日の続きを言われるのだろうか。



自然と、雅の心の中に緊張が走っていった。



…しかし。






「昨日は……。その、すまなかった」






謝ってきた事に、また驚く。






「土方さんは、何も……。悪いのは、私です」


「いいや。一晩寝て、やっと分かった。

今まで無理やり自分の意見を押し付けていた。俺は、お前に地を這ってでも生きてほしい。

だが、それは俺じゃなくて、お前自身が決める事だ。人に言われて無理に苦しい事から脱するのはそう簡単な事じゃねぇ。

脱する覚悟をする勇気がお前にあるかどうかってのが、一番大事だ」


「……」





生きるか、死ぬか。



雅は目を泳がせる。




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