王に愛された女




「これが俺たちの統べる世界だ」

 ガブリエルは国王を見つめた。

「すごいです!」

 たった一言、これしか言えないがガブリエルは言った。国王が微笑を浮かべる。

「いい眺めだろう?」

「はい!」

「…うん、でいい」

 国王が切なそうに言った。

「え?」

「俺のことはオラシオンでいい。敬語で喋るな。オマエこの国の王妃になるんだからな」

 ガブリエルは戸惑ったが、やがて頷いた。

「うん」

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