王に愛された女



「飛ぶぞ」

 ガブリエルは今の状況が把握できずに戸惑った。

 ガブリエルが聞き返そうとした瞬間、体が浮いた。

「このまま、風の壁を打ち破る!」

 国王は嬉しそうに言って翼を動かす。

「えぇ!?」

 その時、風の壁が目の前に迫ってきた。

 ぶつかる!

 ガブリエルは目を閉じた。

 だが、いつまで待っても痛みはない。

「…?」

 ガブリエルは恐る恐る目を開けた。

 眼下には、城下町や川が見える。

「風の壁を突破した」

 国王は昨日とは違う嬉しそうな声で言った。

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