王に愛された女




 十年前――。

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 牢屋の中で、国王の胸の上に倒れこんだ王妃にアリシアはそっと近寄った。

 自分も死ぬ、そう宣言した彼女のことが気になって仕方なかったのだ。

「…王妃様…?」

 アリシアは王妃の右腕に触れた。

 瞬間、国王の胸が微かに動いているのが目に留まる。

 まだ、国王は生きているのだ。

「王妃様」

 アリシアは王妃の腕をしっかりと掴んだ。

「…ほっといてよ!」

 王妃が癇癪を起こしそうな声な金切り声を上げる。

「聞いてください、王妃様」

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