王に愛された女



 ガブリエルは石を入れた籠を背負い直した。

「ガブリエル、荷物…持とうか?」

 フィオーレが尋ねる。

「平気」

 ガブリエルは答え、石運びを再開する。

「そうか」

 フィオーレも小さく呟き、また石運びを始めた。

 歩き出したガブリエルは、ふと脇道の瓦礫に目をやり、「あれ?」と思った。

「何だろ」

 ガブリエルの目に留まったのは、小さな玉だった。

「どうした?」

 後から来たフィオーレが後ろから覗き込む。ガブリエルは、自分の発見を人に教えてくなかったから、慌てて隠す。

「な、何でもない!」

「ふーん?そうか」

 フィオーレは納得したのか否か、ガブリエルを置いて仕事に戻ってしまった。

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