【短編集】ライン
「・・・金本が、どうしても、って、いう、んなら・・・」
嗚咽が混じった彼の声。
私は、ただ黙って聞くことしかできない。
「わか…別れ、る…別れ・・、られる」
ぐす、と鼻をすすってる。
この大男は、私の頭上で泣いている。
そしてだんだん、あんなに力強かった腕から力が抜けて、名残惜しそうに私を解放した。
それがなぜか信じられなかった。
「・・やだよ、岡山…」
私の声は、震えていた。
メニュー