トイレの神様‐いいえ、ただの野次馬です‐
文化祭は二日目に


文化祭2日目(最終日)。







昨日は閑古鳥が鳴いていた窓際族の教室。

そこが今、黄色い歓声で溢れていた。


これも全て、奴のせいだ。




「はいはい押さないで。順番だよ」


「はーい!」




スマイル0円、出血大サービス、大盤振る舞いしている浪瀬忍。


おい、貴様の担当は隣の教室でしょうが。

しかもなんかキャラ違うし。


女の子たちに囲まれてキラキラしている彼をジト目で睨んでいると。




「あのー」



「あ、はいどうぞ」



純粋にここを楽しみに来てくれた凡庸な生徒に声をかけられ、営業スマイルで割り箸銃と輪ゴムを渡す。

それは無言でゴムをセットし、撃つ。

それの凶弾に倒れた的の点数にあった景品と、使い終わった割り箸銃を交換した。



まあ、こんなとこですが。


「楽しんでいってください」


「はい、ありがとうございます」



凡庸な生徒を見送った後は、椅子に座って待機だ。

目線の先には浪瀬と女の子たち。



飽きないねぇ。

キャンキャン五月蝿いのですよ。
とっととどっか行って欲しいのですよ。



それもこれも、全ては浪瀬のせい。

回転率は悪いし、窓際族は彼目当てで来る女達が怖くて仕方ない。



私の居る射的とは目と鼻の先にあるボーリング。

そこの係は、客の女生徒にボールを渡そうとして、睨まれている。


浪瀬が予備のボールを渡せば、彼女は頬を染めて受け取り、ピンに見立てたペットボトルに向かって転がす。

それはヨロヨロと転がり、当たっても倒れないという非力っぷりをアピール。



「いやーん、浪瀬くん!」



どさくさに紛れて浪瀬に抱きついた。


周囲の女生徒の視線が嫉妬に染まっている。


対する浪瀬は苦笑い。




イケメンはどんな表情もお似合いで。
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