トイレの神様‐いいえ、ただの野次馬です‐
「凜もやりたいの?」



「えっ………!?」



「だって、ずっとあいつらのこと見てるから、混ぜて欲しいのかなって」




「そう、なのかな」




混ぜて欲しいなんて、そんな。



だってさっきまで帰ってしまいたい気持ちでいっぱいだったのに。




「でもま、今の試合は観るだけが正解かな」



「どうして?」



「見なよ、凌太の腕。青アザできてら」




ケラケラ笑う壬生君。


目を凝らして観ると、確かに。



村尾凌太の腕まくりであらわになった腕に、色の濃い部分があった。




「うおりゃああぁぁぁ!!」



隣で上坂さんがパックを打ち、振り切ったマレットが村尾君を襲う。


パックは宙を駆け、森田君の頬横を後方へ抜けていった。



大崎さんがパックを拾いに行く。




「ね。あんなのの周囲にいたら怪我するよ」


「そう、だね」



あんな殺人エアホッケー、凡人にはできません。



1試合終わると、今度はペアを変えて始める。



どうやら、上坂さんがエアホッケーを大変お気に召したらしかった。



彼女とペアになった森田君は、顔を青ざめさせていらっしゃる。




ご愁傷様です。

手を合わせて祈っておいた。




「あいつらまだやんのか」


「ぁ、壬生君」




いつの間にか姿をくらませていた彼が戻ってきた。


今度はきのこを模したチョコレート菓子を手に。




「食うだろ」


「いただきます」



こうしてわたしは、壬生君と彼の戦利品をつまみながら観戦に徹していた。



< 171 / 252 >

この作品をシェア

pagetop