空色

出会いの季節

 秋晴れの空のなか、場違いな表情をした、女の子が走っている。
 


 走っていなかったら、モデルのスカウトがきそうな彼女は、バスを必死で追いかけていた。
 
 こんなハズじゃなかった!


新学期からは変わる。そう決めていたのに。
 

 何で、寝坊したのよ私!!

 今ではどうしようもない後悔をしながら、バスドライバーのおじさんに大きく手を振る。
 
 どうにか、気づいてもらいバスに乗ることができた。
 
 「新学期そうそう寝坊したのかい?」

もー。止めて欲しい。
 
 「いつも、すいません。」


 このバスドライバーのおじさんには、本当に感謝しているが、いつも痛いところをついてくる。
 
 まぁ。これも、自分の責任だ。

それから、いつもの席に座ろうとした私は、ガラ空きのバスに見慣れない顔を見つけた。
 
 
  誰だろう、若い男の人が乗っている。

 バスの窓越しに海を見つめるその顔は、整った顔立ちで、つい見とれてしまった。
 

 視線に気づいたのか、彼がこっちを見た。
  
 やだ、私!初対面なのに、じろじろみてしまった…。
 
 変だと思われたよね?
 
今日は本当についていない。

 髪を整えながら席に座った私は、ガラス越
しにさっきの男の人をみつめた。

 引っ越してきたのかな?
いや、そんなはずない。こんな小さな島に引っ越してくるなら、とっくに近所のおばさん達のネタになっているだろう。

 そんなことを考えていると、いつのまか、私の住む島にかかった、ライト・ブルーの鉄橋を渡りきっていた。





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