heart and cold~私には貴方だけ~【完】
「もう放課後だよ」
他のクラスメートと同じように優しく声をかける。
「今…『璃花』…って…」
やむをえず呼んだ一言だけがはっきり聞こえているとは…
「何言ってるの?夏目さん」
他人行儀で笑って誤魔化した。
まだばれるわけにいかない。
俺の気持ち。
でも密かに嬉しい。
少しの沈黙のあと
「あ!委員会!」
「だから起こしているんだよ。あと10分で始まるから」
意外と抜けているところを見つけられてまた嬉しくて、今度は顔に出る。
「ッ…ごめん!」
ついニヤケた顔を見た璃花は、言葉を詰まらせて俯き気味に立ち上がった。
そんなに見ていられないようなニヤケ方をしてたのだろうか…
引っかかりつつも、2人で急いで教室を飛び出した。
俺、ちゃんと普通に接してるよね?
…姉ちゃん