嘘吐きなその唇で



「やっぱり。こういうことするの、お前か柚乃くらいだからな」



雅哉は少し顔を顰めながら振り返る。



さすが、雅哉。



私は口元を綻ばせ、雅哉の隣に並び、一緒に廊下を歩く。



『ねぇ、雅哉も帰るの?』



「俺、これからゲーセン行く」



『え?一人で?』



「……」



あっ、一人なんだ。



決まりが悪くなった雅哉は、歩みを速める。


< 51 / 75 >

この作品をシェア

pagetop