勇者34歳
半泣きのツキヨさんをなだめながら
俺たちは城下町から離れた工業都市に着いた。

「デットレイトの町にようこそ。」

なんというテンプレートな町人A。

「やや?!これは勇者ぽこぽん様!デットレイトでは何をお求めで?」

なんで
昨日までただの錬金術師だった俺の
面が割れているんだ?

不審そうな顔をしていたらしい。

町人Aは広場に飾られた絵を示す。

白黒で俺の似顔絵が描いてある。

似てはいないが

つり目がちの目尻とか
少しばかり太めの眉毛とか
無駄に長い睫毛とか
髭だとか

特徴はよく捉えてある。

この絵、見覚えがあるんだが。
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