勇者34歳
病室に戻ると
イルルとリーヴェがすやすやと眠っていた。
電灯がつけっぱなしだ。

どうでもいいけど
2人とも丸くなって眠っている。
よほど疲れたのかもしれない。

寝相がそっくりでちょっと笑った。

適当に座ると冷めた紅茶と
未使用のカップがあったから
勝手に飲んだ。

少し苦い。



ぼけーっとしていると
控えめに扉がノックされた。

こんな深夜に誰だ?

声を出して応じると
丸くなって眠っている2人が起きそうだったから
無言で扉を開ける。

「ナターシャさん、と、メイドさん?」

ナターシャさんは
この城が自宅だから
部屋があると思っていたし
昨日まで寝ずにイルルの看病をしていたし
時間が時間だから眠ったと思ってた。

「イルルは寝落ちしてるぞ。」

知ってるよ、と
ナターシャさんは小声で答えて
イルルたちが眠っている場所へ
歩いていく。

「レグナくんから、聞いてのぅ。」

ナターシャさんは嬉しそうなオーラ全開で
赤い木綿布をとった。

イルルとリーヴェが必死に縫って
完成したローブ。

「ふむ、良いできじゃのぅ。」

できが悪くても、使ったけどのぅ。

と言って
また木綿布をかけなおすナターシャさん。
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