愛しい人へ【短編】
【5】

最後の言葉

出てきた緑の顔には白い布。

白い布をそっと取った。




顔が全然分かんない。



でも感じる……






「キモチは緑だね………」




泣きながら発した言葉に医師は驚いていた。





感じる…………



緑を感じる………








感じるのに目を開けない緑。







「ねぇ緑…キスして………帰ってきたらキスするって言ったもんね。


一生守るって言ったよね?」




急いで右手の薬指の指輪を外して緑に見せる。





「緑はめて?もう左手でいいよ!」







返事がない。





普通だったら泣き叫ぶのにそんな気力もない…





緑が死んだ…………………
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