♡祐雫の初恋♡
「婆さま、慶志朗です。
喉が渇きましたので、冷たいものを二つお願いします」
慶志朗は、広縁から奥の座敷へと大きな声をかける。
間もなく座敷の障子が開いて、
廊下から気品漂う銀髪の婦人が現れた。
「まぁまぁ、慶志朗さん、いらっしゃいませ。
あら、お客さまとご一緒でございましたか。
お客さまは、表玄関からお連れなさいませ。
お嬢さまがお困りでございましょう」
慶志朗が『今度、連れて参りましょうか』と言って以来、
ようやく実現した祐雫との対面だった。